エンジニア志望のひと
転職サイトに書いてあったIoTエンジニアに興味があるなー。
具体的にどんな仕事なんだろう?
そんな方々に残念なお知らせです。
『IoTエンジニア』なんてエンジニアは存在しません。
この記事では、大手電機メーカーのエンジニアであるわたしが、IoTエンジニアが存在しないと言える根拠を解説します。
その上で、IoT業界に入りたいという方は、どのエンジニアを目指すべきかということにも触れます。
これからエンジニアになってIoTの波に乗りたいと考えている方にこそ、ぜひ読んでいってもらいたい内容です。
このページの目次
『IoTエンジニア』で検索すると、たくさんのサイトが引っ掛かります。
出典:Google 検索
転職系やプログラミングスクールのサイトが多いようですね。
わたしはここに疑問を投げ掛けたいと思います。
いまり
IoTエンジニアってなんだ?
冒頭でも話したように、IoTエンジニアなんていうエンジニアは存在しません。
これからその理由を説明していきましょう。
IoTエンジニアが存在しないことは、3つのポイントから説明できます。
いまり
ポイントに沿って詳しく話していくよ!
IoTを実現するためのスキルに、「IoTエンジニアリング」というものがあるわけではありません。
IoTを実現するには、複数の要素=専門的スキルが必要です。
▼ IoT実現に必要な要素とは?
▼ 組み込みエンジニア
IoT="モノ"のインターネットですから、IoT機器そのものがないと話になりませんよね。
IoT機器を作るのは、組み込みエンジニアリングというハードウェアを設計・制御するスキルが必要です。
もちろんWi-FiやBluetoothなど無線通信規格に関する知識や技術も不可欠です。
いまり
電機メーカーで製品開発をしている私も、組み込みエンジニアだよ!
▼ インフラエンジニア
IoT機器をインターネットに接続して有効活用するためには、サーバーやネットワークなどのインフラも必要です。
サーバー/ネットワークを構築・運用するのはインフラエンジニアです。
最近はすっかり当たり前になったクラウドサーバーも、大別すればインフラエンジニアの範疇ですね。
▼ フロント/バックエンドエンジニア
IoT機器を制御するためのアプリケーションも必要ですね。
IoT家電を使ったことがある人は、それを動かしたり設定したりするためのスマホアプリも利用したことがあるはずです。
このアプリケーション開発を担当するのは、フロントエンジニア/バックエンドエンジニアと呼ばれる人たちです。
エンジニアが「○○エンジニアです」と名乗る時、自分が何をできるかを端的に述べています。
「組み込みエンジニアです」と名乗れば、ハードウェアの設計・制御ができるでしょう。
「フロントエンジニアです」と名乗れば、アプリやシステムの外観・見た目の動きをプログラムすることができるでしょう。
いまり
○○エンジニアというのは、その人自身の専門性・スキルを表しているわけだね!
さて、もし「IoTエンジニアです」と名乗られたら、どう思うでしょう?
わたしたちはIoTが複数の専門的スキルが組み合わさって、やっと実現するものだと理解しています。
すべての専門性を兼ね備えたエンジニアなんて普通いません。
いまり
IoTエンジニア……?ん、結局なにができるの?
少なくとも、自分自身がエンジニアであるわたしはこう思います。
エンジニア志望のひと
でも、もしかしたらIoTに関連するスキルを網羅したIoT専門のエンジニアっているんじゃないの?
いまり
もしかしたらいるかもしれませんね。
ただそのようなIoT専門エンジニアがいたとしても、日本に何人といない超希少エンジニアです。
少し調べると分かりますが、フロント/バックエンドが両方できるエンジニアですら、優秀な人材と認識されています。
組み込みエンジニアでも、ハードウェアとソフトウェアの両方を把握していたら、大手電機メーカーも重宝するくらいです。
そんな中で、組み込み・インフラ・フロント・バックエンドすべてに精通しているなんて、そんな超人はまずその辺にはいないでしょう。
一般的に存在しないエンジニアなら、わざわざ『IoTエンジニア』なんて言葉は使いませんよね。
いまり
だから、わたしは『IoTエンジニア』なんてエンジニアは存在しないと主張しているわけです。
いまり
IoTエンジニアがいないとする根拠をまとめると…
上記2点から、『IoTエンジニア』なんてエンジニアは存在しないと言えるのです。
これまでお話したように、『IoTエンジニア』なんていません。
なのに、なぜ転職サイトなどで”IoTエンジニア”という言葉が横行しているのか。
それは、IoTという世界のトレンドにかこつけているのだと思います。
いまり
ようするに、流行り言葉を使って注目を集めようとしているだけですね。
エンジニアという仕事やIoTの中身を正しく理解していれば、”IoTエンジニア”なんていう言葉は絶対に使いません。
転職サイトそのものを否定するつもりはありませんが、”IoTエンジニア”の紹介があってもその部分は鵜呑みにしないようにしましょう。
会社の求人情報にIoTエンジニアという項目があっても信用してはいけません。
会社自体がIoTの中身を理解せずに、とりあえず人を集めようとしているだけです。
エンジニアそれぞれの専門性をどう組み合わせてIoTを開発するか、そんなこともわかっていないならマネジメントもまともではありません。
いまり
過剰なスキルを要求して疲弊させてくるブラックの可能性が高いから、気を付けようね!
(マネージャーポジションで年収がめちゃ高いなら別だけど!)
プログラミングスクールにも『IoTエンジニア育成コース』というのがあったりします。
これもアウトです。
組み込みを学ぶのか、クラウドを学ぶのか、はたまたフロント/バックエンドか。
どのスキルを学べるのかまったくはっきりしていないからですね。
いまり
とにかく『IoTエンジニア』という言葉を見つけたら、地雷の可能性が高いと思いましょう!
エンジニア志望のひと
IoTエンジニアというエンジニアがいないのはわかったけど、じゃあエンジニアとしてIoT業界で働きたい場合はどうすればいいの?
いまり
これまで紹介した、
どれかを目指すのが妥当だと思います。
まずはエンジニアの種類を把握して、自分に合っているエンジニアはどれか、自分がどういう仕事をしたいかを考えることが大事です。
ハードウェアに関心があるなら組み込みエンジニア、アプリやシステム開発に関心があるならフロント/バックエンドという風に。
そうすれば、どんな勉強をすべきか、どんな企業を探すべきか、おのずと道は見えてきます。
いまり
「自分がどういうエンジニアになりたいか」
これを具体的にイメージすることがスタート地点ですね!
散々「IoTエンジニアなんて存在しない」と言いましたが、自分がイメージする”IoTエンジニア像”を目指すのは問題ありません。
エンジニアとして働いているとわかりますが、担当外の領域にも精通している人(マルチエンジニア)は有能であることが多いですし、会社や業界からも重宝されます。
昨今のIT技術はどんどん複雑なものになっているので、広い領域を理解するマルチエンジニアはキーパーソンになりやすいのです。
複数の専門的スキルを習得する必要があるため険しい道のりではありますが、目標にする価値は十分にあります。
いまり
代替不可能な人材を目指すなら、ぜひ複数の専門性を習得していきましょう!
(もちろん、どれも中途半端な器用貧乏にならないよう注意はしようね。)
今回は、巷にある『IoTエンジニア』なんていう言葉が正しくないことを指摘しました。
IoTは複数のエンジニアが協力して実現する技術なので、さも1人でIoTを実現するかのような『IoTエンジニア』なんて存在しないということです。
ただ、IoT業界自体は今後も伸びていく拡大市場です。
話題の最新技術である5G, AI, ブロックチェーンなどとも親和性が高く、将来性は十分です。
いまり
IoT業界でエンジニアとして働きたいという考えは決して間違っていないので、まずは自分がなりたいエンジニア像を固めることが重要ですね!
ITエンジニアの種類を知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
某国立大学にて物理学を学んだのち、誰もが知っている大手電気メーカーに入社。大半の日本人が一度は使用したことがあるであろうBtoC製品を開発している組み込みエンジニアです。
* ハードウェア開発歴:4年
* ソフトウェア開発歴:1年
* ARMマイコンを使用したシステム開発経験あり
* 所有特許:4件
某国立大学にて物理学を学んだのち、誰もが知っている大手電気メーカーに入社。大半の日本人が一度は使用したことがあるであろうBtoC製品を開発している組み込みエンジニアです。
* ハードウェア開発歴:4年
* ソフトウェア開発歴:1年
* ARMマイコン搭載システムの開発経験あり
* 所有特許:4件