エンジニア志望のひと
組み込みエンジニアってどんな仕事なの?
こんな疑問に答えます。
この記事では、組み込みエンジニアの仕事内容から年収・将来性までお話します。
まさに組み込みエンジニアとして大手電機メーカーに勤務している筆者なので、リアリティある組み込みエンジニアの詳しい情報をお伝えできると思います。
いまり
ハードウェアを制御するソフトウェア開発をしたいという人はぜひ読んでみてください!
このページの目次
組み込みエンジニアは、組み込みシステムと呼ばれる電子機器の開発をするエンジニアです。
組み込みシステムとは、簡単に言えばパソコン以外の電子機器です。
▼ 組込みシステムの例
テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、時計、電卓、カメラ、マウス、キーボード、プリンター、ルーター、ゲーム機器、電子楽器、ロボット、改札機、券売機、電子レジ、電気自動車、…etc
数え上げれば切りがありませんが、これらの電子機器の開発が組み込みエンジニアの範疇です。
エンジニア志望のひと
電子回路を作ったりするっていうこと?
いまり
いえ、少し違います。
組み込みエンジニアの仕事は、ハードウェアエンジニアが用意した電子回路のソフトウェア制御をプログラミングすることです。
たとえば、エアコンを例にとれば、
など、これらの機能をプログラミングするのです。
ただ、組み込みエンジニアは定義が曖昧なところもあるので、電子回路などハードウェアを開発設計する仕事も含める場合もあります。
▼ もうすこしイメージを膨らませてみよう
組み込みエンジニアがプログラミングしている機能は他にもいろいろあります。
つまりは、なにかしらの電子機器を動かす機能はすべて組み込みエンジニアのプログラミングによるものと言えます。
組み込みエンジニアの仕事内容の一覧です。
いまり
順番に解説していくよ!
システムを構築するための全体的な構想を考えます。
たとえば、
…など
エンジニア志望のひと
リアルタイムOSって?
いまり
いろいろな処理を並行して動かしたりするためのソフトウェアのことです。
組み込み機器ならなにかしら搭載していることが多いです。
リアルタイムOSにはたくさんの種類があるのですが、よくあるのはLinux(リナックス)やuITORON(マイクロアイトロン)と呼ばれるものですね。
主なプログラミング言語は”C言語”になります。
プログラミング自体はそれほど複雑なものはありませんが、ハードウェアの挙動を考慮した処理を加えたりしないといけません。
実はこの”ハードウェアの挙動を考慮した処理”というのが他のITエンジニアにはない特徴だったりします。
▼ ハードウェアの挙動を考慮した処理とは?
わかりやすくするため、USB端子の抜き差しを検知することを例に取りましょう。
USBが差されると電源がつながるため、電子機器(ハードウェア/ソフトウェア)はその電源の有無をチェックしてUSB接続を判断します。
ただ、扱うのが人ですからUSBの抜き差しが綺麗に行われるとは限りません。意地悪すればカチャカチャと連続で抜き差しされることがあり得るわけです。
何の工夫もなくUSB電源の有無だけチェックしているとたまに抜き差しの判断がひっくり返ってしまうことがあります。抜き差しの変化を見逃してしまうわけですね。
これを回避するための工夫が”ハードウェアの挙動を考慮した処理”というわけですね。
プログラミングをする仕事なら共通するものですが、動作確認とデバッグはもちろん必須です。
自分の書いたプログラムの実動作をみて、不具合がないか確認していく作業ですね。
独特なのは、組み込みソフトウェアではハードウェアが原因の不具合も少なくないということです。
つまり、
いまり
あれ、おかしいな…。何度見返してもプログラムは合ってそうなんだけど、正しく動かないぞ…。
いまり
(…1時間後)うわ、これハードウェアが原因の不具合だ!!!
みたいなことがあるわけです。
なので、組み込みエンジニアにはハードウェアの挙動に関する知識や経験がものすごく重要です。
組み込みエンジニアの仕事はハードウェアの制御ですから、ハードウェアに詳しくならなければなりません。
というのは、組み込みエンジニアなら必ずマイコンやメモリといった電子デバイスを扱う機会があります。
なので、これら電子デバイスのデータシートを読んで、どのようにプログラムすればどう動かせるかを理解する必要があるのです。
また、Wi-FiやUSBなどを搭載するなら、その技術の規格・仕様も勉強しなければなりませんね。
いまり
こういったデータシートは大体英語です。
組み込みエンジニアには、英語の文書を読んでひたすら勉強するような時もあるのです。
組み込みエンジニアの業界は幅広いです。
電子機器があるところならどこでも仕事があります。
スマートフォン、家電、電気自動車、産業用ロボットなど、各業界のメーカーが主な就職先になります。
また、SIer(エスアイアー)と呼ばれるシステム開発受注会社などの就職もありますね。
業界によるため一概に言えませんが、
▼ 組み込みエンジニアの平均年収(業界別・40才参考)
という水準です。
日本人40代前半の平均年収が450万前後ですから、全体的に高めの傾向にはあると言えますね。
組み込みエンジニアは需要は高いです。
組み込みエンジニアはIT業界を代表するシステムエンジニアに比べるとあまり人数を必要としない職種です。
ただし、
この2点より、組み込みエンジニアは慢性的に人材不足なことが多いです。
いまり
初めのハードルは少し高いけど、スキルを習得した後は転職に困ることはほとんどありません。
コンピュータが出始めた頃からある職種なので、将来性が特別あるとは言えませんが、仕事がなくなることはまずありません。
IoTという言葉に代表されるように、世界的にIT社会の発展はまだまだ続きます。
IoTのような無線通信の制御を実現するのは組み込みエンジニアですから、むしろこれから組み込みエンジニアの市場価値は上がっていくと言えます。
ハードウェアの挙動を考慮したプログラミングをするため、ロボットコンテストなどハードウェア制御の経験があるひとはやはり注目されやすいですね。
また、組み込み系の専門学校などもあるので、入学が可能であれば検討するものアリでしょう。
ハードウェア制御の経験はないけれど、強みを身に着けて就職・転職活動に役立てたいという方には、エンベデッドシステムスペシャリスト試験がオススメです。
いまり
”エンベデッド(embedded)” = ”組み込み”だから、つまりは組み込みエンジニアのためにある試験だね!
これは今後のIoT社会に対応していくために国が設けた国家資格であり、所持していれば採用人事も注目せざるを得ません。
ただ、情報処理技術者試験のスキルレベル4(最高難度)、例年の合格者数は17%前後ですから、決して簡単な資格ではありません。
とはいえ、難しいからこそ競争相手との差別化ポイントになるので、組み込みエンジニアを目指す方には挑戦する価値が十分にあります。
最後に組み込みエンジニアに向いているひとの特徴をまとめてみましょう。
いまり
当てはまるひとは、組み込みエンジニアをぜひ検討してみてください!
今回は、組み込みエンジニアの仕事内容から市場価値について紹介しました。
組み込みエンジニアは電子機器を動かす唯一のプログラマーです。IoTなどIT業界は今後も発展し続けるため、組み込みエンジニアの活躍の場はますます広がっていきそうです。
いまり
IoTなどハードウェア制御のプログラミングに興味がある方は、ぜひ組み込みエンジニアを将来像の候補に考えてみてください。
某国立大学にて物理学を学んだのち、誰もが知っている大手電気メーカーに入社。大半の日本人が一度は使用したことがあるであろうBtoC製品を開発している組み込みエンジニアです。
* ハードウェア開発歴:4年
* ソフトウェア開発歴:1年
* ARMマイコンを使用したシステム開発経験あり
* 所有特許:4件
某国立大学にて物理学を学んだのち、誰もが知っている大手電気メーカーに入社。大半の日本人が一度は使用したことがあるであろうBtoC製品を開発している組み込みエンジニアです。
* ハードウェア開発歴:4年
* ソフトウェア開発歴:1年
* ARMマイコン搭載システムの開発経験あり
* 所有特許:4件