SIerからWeb系フリーランスになるまでに立てた採用戦略

記事更新日: 2021/01/31

ライター: おうま

解決できるお悩み

  • SIerからWeb系に転職したい
  • フリーランスになりたいけど仕事が取れるか不安です

こんなご相談にお答えします。

 

 ✔ 本記事の内容

 

  • Web系案件を取るまでに立てた戦略
  • SIerを辞めた時のよわよわスキルセット
  • 学習にかけた時間と勉強内容
  • 募集が来た案件数と応募をした案件内容
  • エントリー社数と面談・採用された社数
  • 面談時にされた質問内容

 ✔ 本記事の信頼性

 

フリーランスSE おうま(@ouma_chaan)

SIerからフリーランスになりましたが

「相当覚悟が必要だったでしょ?」

「特別なスキルを持っているんでしょ?」

と未経験の方や学生さんからはよく言われます。

 

しかし、当時の僕には特別なスキルも覚悟もなく「SIerに疲れてたので早く辞めて楽になりたい」気持ちだけで動いていました。

そんな僕でも、数社面談してあっさりWeb系案件にジョインできたのは戦略がハマったからだと思っています。

 

おうま

今は動画配信サービス会社でWebディレクターをしています

 

コロナ禍で採用が厳しい中、SIer出身でWeb系のスキルも覚悟もなかった僕が、特に苦労なくWeb系プロジェクトにジョインするためにやった学習過程を網羅的にご紹介したいと思います。

 

 「SIerに疲れてWeb系に行きたいけど何を準備すべきか分からない」「フリーランスになるために何に手をつけるべきか…」と不安を感じている方の少しでも参考になれば幸いです。
 

現状分析と戦略立案

現状分析と戦略立案

 

戦略をご紹介する前に、まずは僕の経歴を簡単に紹介させていただきます。

  • 国立情報系大学卒業
  • 新卒から6年間大手SIerで勤務
  • 新卒〜2年目:C#プログラマー
  • 3年目〜:開発以外の要件定義以降を担当
  • Web開発経験なし
  • クラウド経験なし

上記の通りSIerで働きすぎた結果…
技術トレンドから取り残された状態でした。

 

▼ 辞める直前のスキルセット

・AWS/Azure/Firebaseを触ったことがない

・Web/アプリの作りが分からない

・GitもHTMLもAPIも分からない

 

「いざ、辞めよう」と思っても、駆け出しエンジニア以下の超よわよわエンジニア…これはマズいと思いました。

 

このままではプロジェクトの面談の時に

PM

Web系やったことないよね?

おうま

はい、経験はありませんがやる気はあります‼️

おうま

はい、わかりました(不採用) 

となるのは目に見えています。

しかし、既に会社には辞めると言っていたので残る期間は数ヶ月…。現場で通用できるレベルに到達は不可能です。

そこで採用のため戦略方針を下記に定めました。

 

『ポテンシャル採用の会社を狙う』

 

すごくダサいですが…経歴を見られた瞬間間違いなく落とされます。

ポテンシャル=やる気と主体的な能力のある人間』と定義付け具体的なスケジュールを作りました。期間は3ヶ月です。

 

【ポテンシャル採用のためのロードマップ】

--1ヶ月目

Progate/ドットインストールでHTML/css/jsを学習
Udemyで動画を見ながらサイト作成

-- 2ヶ月目

  • 作成サイトをもとにポートフォリオ作成
  • ポートフォリオをもとにCrowdWorksで案件獲得
  •  
  • -- 3ヶ月目
  • 案件対応
  •  

-- ゴール

面談で案件獲得をアピール

 

 

動画学習サービスで基礎を学ぶ(1ヶ月目)

動画学習サービスで基礎を学ぶ(1ヶ月目)

 

このブログを読んでくださってる方もよく使っているであろうドットインストールとProgateで勉強しました。本当にわかりやすくて感激です。

(Progateのレベルはこんな感じ)

 

 

ここで学習した内容はこちら。

僕の場合は、2週間ぐらいで勉強し終わりました。

ドットインストールで学習したこと

学習教材
ドットインストール
学習時間
6時間
月額料金
0円
開発言語
HTML/CSS/JavaScript

学習コース
Visual Studio Code入門 (全13回)
HTML/CSSの学習環境を整えよう (全5回)
はじめてのHTML (全14回)
はじめてのCSS (全15回)
はじめてのJavaScript (全11回)
  • 無料版の動画のみ視聴しました
  • VSCodeの動画のみ手を動かしてあとは見るだけです

1つ3分ぐらいの動画を流し見するだけなのさらっと見れると思います。

 

Progateで学習したこと

学習教材
Progate
学習時間
24時間
月額料金
1,078円
開発言語
HTML/CSS/JavaScript

学習コース
HTML & CSS 初級編 
HTML & CSS 中級編 
JavaScript I〜VII 
  • HTML & CSS 上級編はレスポンシブデザインなのでスキップしました

ここまでで『プログラミング(マークアップ)言語ごとの用語と書き方』がわかりました。

しかし、Progateを何周やっても面接でのアピールにはなりません。

 

雰囲気は掴めたところで、ここからは実際に手を動かしてサイトを作っていきます。

 

Udemyで学習したこと

 

先にUdemyの説明をすると、教えたい人が講座を開き学びたい人が受講できるオンライン学習プラットフォームです。

今回はスマホ対応のWebサイト(ヘルシーフードの宅配サービス)の作成方法を動画で学びました。

学習教材
Udemy
学習時間
20時間
月額料金
1,480円 24,000円(
開発言語
HTML/CSS/jQuery

学習動画
Build Responsive Real World Websites with HTML5 and CSS3
  • 月1ぐらいで80~90%OFFになるのでそこでの購入がポイントです
  • プログラミング作成を1から教えてくれる動画がたくさんあるので、すごくオススメのサイトです!

僕が学習した動画は「Build Responsive Real World Websites with HTML5 and CSS3」です。

この動画を選んだ理由がこちら。

動画選定の理由

  • 完成形がオシャレ
  • レスポンシブ対応している
  • Bootstrapを使わない

1から自分でスマホ対応しているしているサイトを作りたかったのですが、日本語の動画が見つかりませんでした。

英語は苦手(TOIEC500点レベル)で最初は不安でしたが、Udemyでは日本語字幕も出るので問題なく学習を進められました。

 

学習すればこんなサイトが作れます。

 

ここまでで1ヶ月が終わりです。

総勉強時間は50時間で、平日は仕事終わりにずっと勉強していて土日は片方潰れるぐらいの勉強量でした。

 

案件獲得に動き出す(2ヶ月目)

案件獲得に動き出す(2ヶ月目)

 

クラウドソーシングサービスに応募する時に必要な物ってご存知でしょうか?

僕は初めて利用したので実績が0の状態からスタートしました。

 

今回準備したのはこちらです。

▼ 案件獲得のための準備物

・プロフィール

・ポートフォリサイト

この2つが準備できればOKです。

やってみて「やり始めの人にはハードだな」という感想を持ちましたが、どれくらい案件を応募してなぜ大変だと感じたかをご説明していきます。

 

ポートフォリオを作成する

クラウドソーシングサービスを使う時にポートフォリオは必須です。

案件の応募欄に『自己紹介やポートフォリオの提示』が書かれている場合がほとんどだからです。

例えばこんな感じです。


僕は、SIer時代の折衝交渉経験をアピールするポートフォリオを作りました(▼こんな感じのやつです)

正直クオリティは全然高くないと思います。GCPにデプロイはしましたが、そもそもポートフォリオ肝心の制作実績を書いていません。

最低限の準備物を用意して、あとは丁寧な提案で勝負する作戦です。

 

 

 CrowdWorksに応募する

1週間の間に1日1件程度、自分でできそうな応募を見つけて提案していきました。

▼ 応募総数
8件
▼ 連絡があった数
4件
▼ 受注獲得数
1件

実際に応募してわかったことはハードルの高さです。

[応募状況]から応募している人数が分かるのですが、1案件倍率20~50倍をくぐり抜けないと仕事がもらえません。

 

僕の獲得した案件では26人ぐらい応募者がいました(▼7万円のWordPress構築案件を受注できました)

受注獲得までの成約率が5%以下になることも多いみたいなので、未経験だととにかく数を応募して実績を作ることが大事です。

ここまでで案件を獲得できたので、あとはやるだけです。

 

「WordPressって何?」って状態だったのですが、ここも受注後にUdemyで勉強して3ヶ月目で無事納品することができました。

 

案件獲得をアピールする

案件獲得をアピールする

 

準備が整ったら、いよいよ応募をしていきます。

 

フリーランスの案件の取り方は色々ありますが、【エージェント経由】がすごく楽でした。

なぜなら、職務経歴書と希望を伝えると勝手にLINEで企業案件を提案してくれるからです。

 

約1週間で15件ほど案件を紹介してくれました。

▼ 紹介案件数と日程
6/30 4件
7/1   2件
7/7   5件
7/8   4件

▼ 面談希望をした案件

5件

▼ 面談をした案件

3件

エージェント経由だと手数料が高めなので慣れてきたらレバテックを使う方が手取りは増えるのでオススメだと、フリーランスの先輩が教えてくれたので次回からはそちらを使おうと思っています。

 

自分のつきたいポジションと言語を明確にする

案件全てにエントリーしていては時間がかかり過ぎます。

「PMポジションで、言語はC#、Java以外」とざっくりでOKですので、どんな案件を紹介して欲しいかエージェントに伝えましょう。

 

実際に紹介があった案件はこちら。

 

上記の通り、何をやるか面談するまであまり書かれてないことが多いです。

 

 

オンライン面談をする

コロナの影響もあって今面談はオンラインが主流です。

面談時間は45~60分で、3社面談して大枠の流れはほとんど一緒でした。

面接の流れ

◼︎ プロジェクト概要説明:15分

◼︎ 自己PR:15分

◼︎ 質疑応答:15分

 ✔ アピールすべき点

 

この面談で見られているなと思ったポイントは

「プロジェクト概要に活かせる経験がPRできているか」

「やったことのない業務でも前向きかどうか」

の過去の経験と意欲が見られていると感じました。

 

落とされた要因を伺ってみると「EC販促の経験がないから」でしたし、採用された要因は「折衝交渉の経験がある」「前向きだったから」「学習意欲と行動力があったから」と必要な経験 + やる気を感じてもらえたからでした。

 

 ✔ 経験をアピールする

 

SIerあがりでアピールできるポイントは、設計や折衝交渉とバックエンドの開発経験です。

 

技術で勝負できない分、大規模プロジェクトの社内外でコミュニケーション力や業務知識の吸収方法をアピールすべきです。

 

お客さんと打ち合わせをできるようになるために、資格を取ったり社内やお客さんとコミュニケーションとって業界知識をつけていくことも多いと思いますが、面接した会社さんからは「自分で課題を持って学習していく姿勢がありそう」「キャッチアップ能力が高そう」と言ってもらえました。

 

 ✔ やる気をアピールする

 

エンジニアは経験がものをいう世界なので、必要な経験が無いと100%突っ込まれます。

「Web系の経験ないですよね?」

はどのプロジェクト担当者からも質問されましたので、想定 + 準備していた内容で答えました。

 

Q.Webをやったことないですよね?
A.Web系の知識が不足していることは認識しています。 不足を補うために、HTML/css/jQueryでポートフォリオサイトを作成した上で、クラウドワークスでWeb系の案件に応募をしてWordPress案件ですが7万円の案件を受注しました。
もともとC#で3年間プログラマーをやっており、バックエンドの理解はありますのでHTML等のマークアップレベルであれば調べながらで理解はできますし、キャッチアップの期間は必要ですが貴社にジョイン後に学んで参ります。

 

この回答にやる気を見出してもらって、「是非うちに来て欲しい」「分からないことはOKだから、全然教えてあげるよ!」とお言葉をいただき、その日のうちに採用が決まりました。

是非、自分の弱みをやる気を伝えるアピールポイントに変えて面接に望んでください!

 

 ✔ アピールすべきではない点

 

アピールすべき点がある一方で、アピールすべきではない(言うべきではない)ポイントもあると感じました。それは何かというと、、、

 

「やったことが無いのでできるかわかりません」

 

と自分でできないアピールをすることです。

集団面接もあったのですが、上記回答をした人はみんな渋い顔をされて落とされていました。

当たり前ですが、できるかできないかは面接側が判断することで、話す側が判断することではありません。

 

エンジニアだとリスクヘッジのために言ってしまいそうな言葉ですが、知らずにドヤ顔で伝えてしまうと一気に冷められてしまうのでやめたほうがよいです。

 

最後に

自分がWeb系を目指すことになって、初めて自分のスキルセットの弱さに愕然としました。

SIerはプロジェクトの規模が大きく安全を好むため、最新技術から遠ざかりがちで「転職でアピールすべきスキルが少ない」と悩んでる方も多いと思います。

 

そんな悩みを抱えてる方でも、行動力をもって挑戦してアピールすればWeb系でも何でもなれると自信をつけて欲しいと思って長々と書きました。

 

自分の力に自信をもって、多くの人に喜んでもらえるサービスを作る楽しんでるエンジニアが一人でも多くなることを願っております!

長い話を最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!!

この記事を書いたライター

おうま

Webディレクション案件を主に手掛ける現役フリーランスエンジニアです。元々は大手SIerのシステムエンジニアに従事しており、8年の勤務を経て、2020年に独立に至りました。
  • 現・動画配信サービスのディレクター
  • 受注案件:iOS・Android・Web(Rails)のアプリ開発管理など
  • エンジニア歴:9年

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